レンジローバー写真は1994年式クラシック・レンジローバーのリヤサスペンション部分。エアスプリングは従来のコイルサスペンションと同じ位置に取り付いている。コイルスプリングの代わりにエアスプリングが設けられているのだが、取り付け方法の大きな違いは、エアスプリングは上下共に固定されていること。コイルスプリングの場合は下だけが固定されており、上はシャシがどかっと乗っかっているだけである。

これからの季節、夏用タイヤから冬用タイヤへの交換が始まる。年に数回はガソリンスタドやタイヤショップからレスキューの電話を受ける。リフトで上げてタイヤ交換を済ませただけなのに、作業が終わったら車高が上がらない・・・、と。

エアスプリングの構造は、ベローズと呼ばれるちょうど竹輪の形をした筒状ゴムの上下に、アルミダイキャスト(又はプラスチック)の蓋がはめ込まれている形。そのダイキャスト部分が上はシャシ、下はホーシングに固定されている。
リフトのタイプにもよるが、写真のようにシャシで持ち上げるとホーシングは重みでドロンと下に伸びる。その時、エアスプリングはどうなるか!ダイキャスト部分が上下に引っ張られるので、弱ったエアスプリングはその張力に耐え切れずに蓋となるダイキャスト部分が外れてしまうのだ。その状態でリフトから降ろしてエンジンを掛けても、エアスプリングは膨らむはずはない。
一度エアスプリングを車両から取り外し、外れてしまった蓋をベローズに嵌めなおせば復活することもある。しかし、古くなって硬化したゴムゆえに、一度広がって外れた部分の気密が保たれないことも多い。結局エアスプリングを1~2本交換することになるのだが、おそらく電話の様子からするとガソリンスタンドやショップが費用を負担したり、整備車両に対する保険などで対処しているようである。
ユーザーさんにとっては弱っていたエアスプリングがタダで交換されるのだからまんざわ悪いことではないかもしれないが、明日にでもスキーに出かけようと予定されていた場合には大変な事態である。

では、どうすればこんなトラブルを防ぐことができるのか。通常、我々はホーシングでリフトアップする。そうすれば足はドロンと伸びない。ヤッてしまったショップさんにも、そのように説明する。しかし、リフトのタイプによってはシャシにしか掛けられない場合もある。やむを得ず足は伸びきってしまうのだが、その場合には上下どちらかの固定をあらかじめ外しておく。
写真は上側の固定を切り離しているところ。エアを供給するホースが差し込まれているので、それも抜いておく。こうすれば、エアスプリングに無理な力は全く掛からない。もちろん、下側の固定を外してもよい。

ちなみに、サスペンションの構造がほぼ同じの2ndレンジローバーへの対処も全く同様である。
ユーザーさんは作業を担当していただく方に是非そんなアドバイスを、そして作業をされるショップさんもどうか気をつけてください。