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ブレーキフルードの交換2013年9月28日

クルマを停止させるときにペダルを踏んで使うフットブレーキ、一般的にそのシステムは油圧式である。液体を入れたふたつの注射器を使い、お互いの針の部分をパイプで繋ぐ。油圧式のブレーキシステムを超簡単に説明するとこんな感じ。
片方の注射器を押し込むと、もう一方の注射器のピストンは飛び出してくる。押し込むほうがマスターシリンダーで、押し出されるほうがホイールシリンダー(ブレーキキャリパー)。ブレーキペダルを踏むことでマスターシリンダーのピストンを押が押し込まれる。押し出されるホイールシリンダー側にブレーキパッドがあり、回転しているブレーキディスクに押し付けられてブレーキが効く。
このシステムの媒体となっている液体がブレーキフルード。このブレーキフルードは水溶性で、空気中の水分を徐々に吸収していく。フルード内に水分が混じることで沸点が下がる。沸点が下がればフルード内で蒸気となった気体が泡となって混じり、ブレーキの踏力はその泡によって伝達力が落ちる。つまりこれが劣化なのだが、そのため、ブレーキフルードは定期的に交換が必要になる。だいたいそのサイクルは2~3年。ちょうど車検ごとということになる。ほとんどの車検工場でお決まりのメニューになっているのは、こんな理由からである。我々の工場でも例外ではなく、車検時にはみなさんにお勧めしている。

ランドローバーレンジローバー
ブレーキフルードの交換は、マスターシリンダー側のリザーバータンクから新しいフルードを注入し、押し出すようにしてブレーキキャリパー側から抜く。ご覧のように新品のフルードは透明だが、キャリパーから抜き取った劣化したフルードは真っ黒に変色している。目に見えない部分の整備ではあるが、これによってブレーキの信頼性は確実に上がる。
私はこの作業が大好きだ。汚れたものを全て排出し、回路内が新鮮なフルードで満たされる。最高に気持ちがいい!

愛情整備2013年9月19日

レンジローバーユーズドカーとして入庫したクルマやユーザーさまからメンテナンスでお預りしたクルマ、そのクルマの整備に取り掛かったときに「お、愛されているなあ!」と思う瞬間がある。こんなふうに下回りの整備に取り掛かった場合に多い。例えばデファレンシャルオイルの状態を見たとき。
レイブリックでは、お客さまにご納車するための整備では、全ての車両において全油脂類の交換を行なう。エンジン、オートマチックトランスミッション、トランスファ、そして前後デファレンシャル等々。写真は、ちょうどクラシック・レンジローバーのフロントデファレンシャルのオイルを抜き取っているところ。
デファレンシャルオイルは元々は飴色をしているのだが、2万キロも走行するとかなり黒ずんでくる。2万キロといえば一般的には車検ごとぐらいの走行ペース。仮にこれを一回パスしてしまえばすぐに4~5万キロとなる。そうなればオイルは真っ黒で、しかも酷いものではドクドクと塊になって落ちてくるほど劣化していることもある。ただ、この段階では走行フィーリングに異常が感じられることは少ない。
これが更に悪化し、デファレンシャルギヤが壊れて音が出たり最悪のケースではギヤが掛けて走行に支障をきたすことにもなる。ただ、その確率はとても低い。故障に繋がる確率が低いのなら気にすることないじゃないか!と言われてしまえばそれまでだが、デファレンシャルオイルを交換する作業の目的はただオイルをキレイにすることだけではない。
例えば、クラシック・レンジローバーの場合、前後デファレンシャルにはそれぞれおよそ1.7リットルのギヤオイルが入っている。長い年月をかけてじわじわと漏れが発生していて、オイルがかなり少量になっていることもある。少量になれば劣化は更に早まる。実際に、ドレンを開けても粘土状になったものが塊となってコトっと落ちてきただけという経験も少なくない。そんな状態でも壊れずに機能しているランドローバーのデファレンシャルギヤの頑丈さには驚くばかりだが、それでも何年かに一台はギヤがバラバラに砕けてしまったクルマが入庫する。

快適に乗り続けること、故障のリスクを避けること、オイル交換の目的はそんなところだろうが、これを人間の体に置き換えれば、健康に気遣った生活を続けるということである。不摂生を繰り返せばいつか無理がくる。病気になる確率も上がる。人間の身体と違って自然治癒力がない機械の場合にはなおさらである。
目に見えない部分だし、手間を掛けてメンテナンスをしたところで体感できにくい箇所である。しかし、それでもしっかりと手が入れられており、ドレンボルトを抜いたときにそれほど汚れていない飴色のオイルが滑らかに落ちてくる様子を見ると「愛されていたんだなあ!」と安心するのである。